」で便利でお安く。感想
自分が、救えなかったような、何とも言えない悲しい気分になり涙が止まりませんでした。主人公住田は中学3年生で、貸しボート屋を営業しながら母親と住んでいます。しかし母親は男と蒸発してしまいます。数々の耐えがたいような事に巻き込まれ、実の父親を殺してしまったりやくざに暴行を受けたりして、でもなんとか生きていきます。ネタばれになりますが、住田は死にます。
なぜあのタイミングでなぜあの化け物の言葉に耳を貸し、そして死んだのかわかりません。救いはあったのに、服役して茶沢という少女と暮らしていくという道もあったのになぜそこまで絶望しなければならなかったのかわからないです。こんなに悲しい作品は初めて読みました。15歳の住田が望んでいたのが「平凡」な生活だけだったなんて可哀想過ぎて胸が苦しいです。
茶沢という少女は住田のクラスメイトで、一方的に住田に好意をもっているかと思いきや話が進んでいくうちに段々惹かれあい、愛し合っていきます。住田の貸しボート屋の住むホームレスに暴行され、通りがかった子供たちに助けられます。子供たちよく逃げなかったなと思います。最後まで住田に尽くし服役後に結ばれる夢を語っているシーンでは本当にいい子だと涙が出ました。住田の死体を発見した彼女はどう思っていたのかかなり気になりますが物語はここで終わってしまいます。なぜこんな話でなければならなかったのか本当に悲しくなります。
