感想
昔から集団生活に属すことのできない、孤立した存在であった孤独な主人公、犬神。彼は大学に進学し、そこで今度こそ集団に属してみようと様々なサークルをめぐりますがまったく受け入れてもらえず。ある日木のウロで昼食をとっているとあるサークルと出会います。そこは演劇研究会という演劇サークルで生まれて初めて属した集団なのだそうです。
通して読んでみるとくそまじめなのかなという印象を受けます。というかものすごく不器用です。悲しいことに対人恐怖症とか人見知りというわけではなく、むしろ積極的に輪に入ろうとしていく姿勢があるのにも関わらず報われていないのです。なんの義務とか責任とか思わずに接すするサークルメンバー達は何となくすごいというか気を使っているなと感じます。
なんだかんだ楽しそうなのが救われますが。しかもわざと突き放し、主人公の変化させようとまでしているので出来た人たちだと思います。やたらと淡々と読ませる作風の割に、ドカンとこらえきれないくらいのギャグを突っ込んでくるのでもうこれはハマってしまうなと実感しました。何より、そういうふうにみせているのだとわかっていても全くの無表情である主人公には不思議とクセになるような面白さがあって、爆笑させられました。