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ZOO1(カザリとヨーコ(乙一)感想&書評!映像化もされていてそちらもオススメです(ネタバレ注意) #小説


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「ZOO1(カザリとヨーコ)」 乙一

ZOOは短編集なのでその中から「カザリとヨーコ」を。
主人公は中学2年生の女の子ヨーコ。双子の妹カザリ、ママと3人暮らし。

まず、ママのヨーコに対する虐待が食事も与えられず寝床は座布団、持ち物は物置、精神的・身体的虐待…と酷いものだが、対してカザリは大事にされていつも綺麗で自分の部屋がある、と落差が大きいがヨーコは憎むどころかカザリに憧れており彼女が好きだとさえ言っているし、ママにも虐待されているとすら思っていなさそうなところが恐ろしい。

私自身は虐待された経験はないが、本当に痛々しく感じるし、可哀想だと思ったりもするが、スズキさんというおばあさんとその飼い犬のアソと親しくなり毎日スズキさん宅に通い、読んでいるうちになんだか微笑ましい気持ちになる。
ヨーコは風呂に入れてもらえず髪もボサボサで不潔な女の子だが、不憫さを除いても嫌悪感なんてものはなく、むしろ好感をもてるのが不思議。
ヨーコはスズキさんから本を借りて持って帰って物置にしまっていたのがママに見つかり借りたと言っても店から盗んできたと思われ取り上げられるところはドキドキする。緊張が走る。ああ、見つかってしまう!と。
本にはスズキさん宅のカギを挟んでいたのでカギを取り返そうとママ不在時にママの部屋に忍び込みカギを取るとカザリが来たので隠れると、カザリはママの仕事用パソコンを花瓶の水で濡らしてしまい、ヨーコがやったことにする為、スズキさんから借りた本を持っていってしまう。この時ヨーコの隠れているところがベッドと壁の隙間で、見つかるんじゃないかと、ここでもドキドキする。しかしここでカザリって実は酷い人じゃないか?とも思った。
カギを持ってスズキさんの家に向かうとスズキさんは死んでいて、絶望感が漂う。スズキさんが死んだらヨーコはどうするんだ⁉︎
家のマンションの前で会ったカザリにママに正直に謝ってと頼むが、ヨーコが私の代わりに謝ってと返される始末。そこでヨーコはカザリと入れ替わって代わりに謝ってあげると言い、服を交換し、ヨーコに変装したカザリが家に帰り、カザリに変装したヨーコが外にいると上からカザリが降ってきた。優しいと思っていたカザリが実はそうではなくて、ショックを感じている様子のヨーコ。しかし最後に復讐?仕返しが出来て良かったと思う。カザリは死んでしまったが、ヨーコにとって良い結末だったと思う。
そしてスズキさん宅に行き、玄関に繋がれていたアソを連れて行き先もなく旅立った。まだ気付いていないママが実は死んだのはカザリだと知った時どうするのだろう、気になるがヨーコの知ったことではないし、中学2年生の女の子が犬とどこに行くのだろう。どうやって生きていくのだろう。

この乙一という作家さんの本は他にもいくつか読んでいるが、主人公が独特な思考思想を持っている。そして奇妙な話が多いが、ギャグもあったりしてジャンルの幅が広い。このZOOは映像化もされていてそちらもオススメです。