ソードアート・オンライン 第24話 「マザーズ・ロザリオ」
仮想世界を「仮のもの」と考え、顔と顔、体と体を向きあわせて付き合う世界が「本当の世界」と考える人達への投げかけがテーマとなっています。
上に挙げた考え方をするのはパソコンやインターネットを幼少期から利用していない50代以降の方が多いのではと感じております。そのような方たちの感覚ですと「インターネットで知り合った、本当の顔も名前も知らない相手との交友関係、もしくは恋愛関係」などはすべて「仮のもの」であり、「現実世界での人間関係」とは全く違う仮初めのもの、偽物であると考えているかと思います。
このアニメはネットゲームが舞台で、主な登場人物であるユウキは産まれた時からHIVを患っています。現実世界では病室から外に出ることも走り回ることも叶わない彼女は、「メディキュボイド」という装置を使い、肉体の感覚や思考をそのままにバーチャル世界で戦い、友だちを作り、いきいきと動きまわります。最終話である今回で病状が悪化した彼女は息を引き取ります。その際、「やはり最後は装置の外で」と彼女から装置を外す医師に対して、バーチャル世界でユウキのかけがえの無い友人となったアスナは「もういちどあの世界で彼女と会いたい」と、装置をつけることを求めます。動けず痛みも苦しみもある現実世界から、バーチャル世界へ戻った彼女は、この世界で得たたくさんの友人やたくさんの思い出、誇りとなったものと共に最期を迎えます。
このアニメが投げかけるものは、「バーチャル世界とは仮のものなのか?」というテーマだと感じました。ネット利用者が増え、SNSやゲームを介した人間関係は、現代では珍しいものではなくなったと思います。直接対面したことがなくても、かけがえのない友人、恋愛感情を抱いている相手、そのような関係が成立するのが、ネットの普及した現代であり、小さな頃からネットが生活の中に存在した人達の感覚だと思われます。ですが未だに「現実が本当でネットは仮想」であるという認識があるもの事実です。病気で動くことも叶わないユウキに、沢山のものを与えたバーチャル世界は果たして「偽物の仮想」と断言していいものなのでしょうか。このアニメは私達に、インターネット世界と現実の境目とは、違いとは、そのようなことを立ち止まって考えるきっかけを与えてくれます。このアニメに出てくる人間関係、友人関係、それらはアニメの世界だけの話ではないからです。