「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」巻ノ一 夢枕獏・著
唐の国に留学していた空海が活躍する話です。唐の長安では奇怪な事件が続いていました。ある役人の家に猫の化け物が取りついたとのことです。
空海は一緒に留学した橘逸勢とともに、その謎にかかわっていくことになるのです。
この謎は奥が深く、時代をさかのぼって、玄宗皇帝・楊貴妃にまで関わっていきます。空海一人ではどうすることもできずに、巻ノ二・巻ノ三・巻ノ四まで続く大作になっています。
この話をもとにして、市川染五郎主演の新作歌舞伎が作られています。歌舞伎の原作として、読んでみようと手に取った本ですが、4冊セットの大作にも関わらず、どんどん読み進めることになりました。巻ノ一ではまだまだ物語が始まったばかりです。導入部分ですが、この猫の化け物の話から大きな事件が掘り起こされてくるので、外すことの出来ない、導入部分でもあります。
空海が唐の長安でどのような暮らしをしていたのか?当時の長安の庶民の暮らしがうまく描かれており、その場に居合わせたように感じることができます。