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感想・書評『長田謙一編:戦争と表象/美術20世紀以後』ネタバレ注意「美術の視点で見た、戦争と歴史」(レビュー)。 #読書


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長田謙一編『戦争と表象/美術20世紀以後』。美術の視点で見た、戦争と歴史。

戦争中に作られた「美術品はないが、今となっては美術に見える」ものの紹介が興味深いものでした。例えば、労働を呼びかけるポスターは芸術としての絵画ではありませんが、多くの国民の目に留まってアピールする効果を持たせる必要があり、自然と目を引く形に進化していったのだといいます。世界各国、特にナチス時代のドイツのポスターが並び、デザイナー達の努力が伺えました。
また、1920~30年代にかけての欧米諸国にて、近代的にデザインされた家、家具や食器、自動車、工場、道路。写真を眺めていると、古い映画を見るような楽しみを味わえました。そして、これらは機能性を追求して作られたものですが、必然的に芸術的にもなっていたという記述に興味を惹かれます。
本著全体を通して、政治や歴史を美術的に評価するという独特な視点が新鮮でした。ほかにも、頽廃芸術、植民地に設置された博物館、戦中の美術活動、戦争被害を描いた絵画など、多くの種類の美術に関する話題が集まっています。