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感想・書評『片山修:9・15リーマンショック』ネタバレ注意「政治・経済界のトップ陣は、ある程度の被害を予想していたものの、実際の損害はもっと大きく、長引くもの」(レビュー)。 #読書


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片山修『9・15リーマンショック』。各界トップはリーマンショック直後をどう乗り切ったのか。

リーマンショックは当初、経済界の主な予想よりもはるかに大きな損失をもたらしました。政治・経済界のトップ陣は、ある程度の被害を予想していたものの、実際の損害はもっと大きく、長引くものでした。だからこそ、いくらかの不利益を受けることになってたとしても素早い決断を行った組織ほど、小さなダメージで不況を乗り切ることができた様子が語られています。
本著によれば、各界トップは異口同音に「予兆はあったが、恐慌にまで及ぶと思わなかった」とする意見を語っており、言い訳に聞こえるかもしれません。それでも恐慌を予想できなかったという意見自体は正直なものであり、「大不況が来ると言われても信じない世間の勢いに乗せられた」のが当時の現状だったのでしょう。また、ニュースでは読めない独自の語り口は斬新で興味深いと思います。例えば竹中平蔵氏の「リーマンが破綻したことより、アメリカ議会が公的資金投入案を否決したことの方が、悪影響を及ぼした」という信任理論は、政治と経済の両方を深く知るものでないと分からない視点でしょう。