サイモン・コンウェイ・モリス『カンブリア紀の怪物たち』。カンブリア大爆発は「大」爆発と言えるほどか?
進化にまつわる話が、主にバージェス頁岩で発見されたカンブリア紀の生物を扱いつつ展開されます。バージェス頁岩で発見された化石動物はどんな生活をしていたのか、様々なデザインの生物群が以前の時代に生きていたどんな動物から進化したか、そして現代の生物へどうつながる進化を遂げたかが丁寧に解説されていました。
そして、本書後半を占める、グールドへの反論に読み応えを感じました。『ワンダフル・ライフ』(1989)により「カンブリア大爆発は従来の生物学では説明できないほど独特」とする説が巷間に広まりました。しかしそうでもなかろうと根拠を示し、それまでの分類に十分に当てはまる生物も多数あったと唱える流れが興味深いものです。一般向け書籍だから仕方ないにせよ話題性を追求しすぎた『ワンダフル・ライフ』。これへの批評は今となっては広く認識されるようになりましたが、本書が発行された当時(1997)に、話題になっただろうか、興味深いものです。