ナカノ実験室

ナカノ実験室が行う実験的なブログです。

スポンサーリンク

直筆原稿を、そのまま新書にする斬新な企画によって生まれた…感想・書評『直筆で読む「坊っちゃん」:夏目漱石』ネタバレ注意(レビュー)。 #読書


【おすすめ情報】知らない人は損している!「アマゾン業務用ストア」で便利でお安く。

漱石自筆が新書に!:『直筆で読む「坊っちゃん」』(夏目漱石)

夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の直筆原稿を、そのまま新書にする斬新な企画によって生まれたのが、この1冊。パッと見ると今の文字ではなく、全てくずし字で書かれており、これは歯が立たないと感じます(実際、漱石の孫の夏目房之介さんは読めなかったそうです)しかし、本屋で売られている『坊っちゃん』と付き合わせて読んでいくと、生の漱石が感じることができます。

丸っこい字で植工が読みやすい字、執筆ペースを悟ることができないような抑制された筆跡、語尾や単語にこだわったことが分かる取り消し線の数々。名作と言われる作品が生み出されるまでに、漱石がどれほど苦悩したのかが生々しいまでに分かるのです。今ではパソコンで文章を打つのが当たり前になって誰でも簡単に文章を書けます。しかし、漱石の時代に文章を書くことは自分の持てる全てを賭ける営みだったのかもしれません。『直筆で読む「坊っちゃん」』は文章を書く人に、文章を書くことの本当の厳しさを教えてくれている気がします。