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感想・書評『三鬼:宮部みゆき』ネタバレ注意「あの百物語の続編と言うかな、何はともあれ三島屋の黒白の迄語られる」(レビュー)。 #読書


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三鬼 宮部みゆき 日本経済新聞出版社 を読んで

久しぶりに読みました、宮部みゆきの新刊です。あの百物語の続編と言うかな、何はともあれ三島屋の黒白の迄語られる、「聞いて聞きすて、語って語りすて」のあの、現実離れしたおどろおどろしい異界からの物語。

いつも感心するのですが、三島屋の主人のめいの「おちか」が色んな話を菊だけの物語なのですが、その語る話の面白さとか、面妖さとか、人の心に巣くう鬼とよべばいいのか、魂の叫びといえば正しいのか、そんな話を語ることにより、語り手の心の闇に潜んでいた、恨みや憎しみといった、おどろおどろしい物が浄化されて行ってしまう物語なのですが、普通はこんな恐ろしい話をうら若き娘の、たとえ心の治療のためとはいえ、させるのは三島屋の主人夫婦、残酷では!とも思うんですが、でも知らず知らずに、何故か消化されていくんですね。これが宮部みつきという小説家の書き手のすごいところなんでしょうが。時代は江戸時代で、現在のような街の明るさも、コンピューターもスマホも無い時代。夜ともなれば真っ暗になってしまう、闇に魔物が潜んでいた時代の話だから、また面白いのでしょうが、実は、人々の心に持っている闇の世界は、今もむかしも全くおんなじなんではとつくづく感じます。いきなり、身も知らずの人を包丁で刺し殺してしまうような事件が起きる現在も。この小説のような恐ろしい、そして、決して解決も、納得も出来ない心の闇というものが、江戸時代からそのまま続いているのではと思います。