」で便利でお安く。「山猫珈琲」下巻 湊かなえ・著
湊かなえさんが好きなものをそのまま並べてエッセイ集のタイトルにしたそうですが、上巻では趣味の登山についての話が多かったように思いました。コーヒー好きの私としては「コーヒー革命」という話がとても興味深かったです。
舌が肥えているわけでもなく、安売りのインスタントコーヒーでも十分だと思っているのですが、そこまで違うと言われるとエスプレッソマシンを試してみたくなりますね。でもやはり嗜好品であり生活必需品ではないので、財布のひもを締めねばならない主婦としては簡単に購入することはできないぜいたく品です。福引きで当てるというきっかけを手にした湊さんが、少しうらやましく感じました。
そして、デビューするまでの道のりを描いたエピソードは、「イヤミス」という言葉を生んだ湊さんの作風の原点を見た気がしました。島在住の主婦が作家になるべく奮闘するその原動力はずばり「悔しさ」なのですね。悔しいという気持ちをほとんど持ち合わせず生きてきてしまった自分には、なかなか考えさせられるものがありました。
