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感想・書評『三浦しをん:仏果を得ず』ネタバレ注意「江戸時代に作られた芸の凄さというものが、紙面を通してひしひしと伝わってきました」(レビュー)。 #読書


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三浦しをんの「仏果を得ず」で感動

三浦しをんさんの本も好きで。見つけては読んでいたのですが、最近とんと縁がなくなっていました。この本も題名を見て、「あっ、なんか面白そう」を思わず手にとってしまいました。彼女の本の面白さは、なんと表現していいのか、うまく説明できないのですが、「まほろば駅前多田便利軒」「船を編む」「政と源」などを読むと、どちらかといえば職人的でいて、それでいて人間ぽい主人公であったり、こんな人、ダイジョブと思わせるような登場人物が多いのです。

今回の「仏果を得ず」は、ページをめくっていくと、そこは「文楽」の世界。文楽といえば「人形浄瑠璃」で、いつも通っている大阪の下車駅の一つ前の駅に」国立文楽劇場」があり、目にするたびに「文楽って、何だろう?」と以前から思ってはいたのですが、どうせ古い江戸時代から続く単なる古典芸能としか認識がありませんでした。でも、この本を読んで、いや、ほんの中に引きこまれてしまい、嫌でも文楽の面白さや奥の深さや、江戸時代に作られた芸の凄さというものが、紙面を通してひしひしと伝わってきました。物語を言葉に載せて、聞いている人々の魂に届かせる太夫の芸の素晴らしさに「言霊」という言葉を思い浮かべた私です。近松門左衛門が江戸時代に書いた脚本というのは、高校時代に習いましたが、その実態は知りませんでした。こんなに面白いものだとは、「いちど講演に行ってみたい」そんな気持ちにさせてくれる本です。