「ヨチヨチ父 とまどう日々」 ヨシタケシンスケ・著
絵本作家のヨシタケシンスケさんが父親になって感じた心境を描いた、育児イラストエッセイです。
ヨシタケさんの作品はほのぼのした独特の魅力があって大好きです。この本もワクワクしながら読み始めたのですが、冒頭から「出産する妻にドン引き」と書かれていて少しムカッとしてしまいました。
妻の立場から言わせてもらえば、激痛に耐えて産んだのはあんたの子だよ!と言いたくなりますが、自分のお腹を痛めていない夫からすれば、これが正直な感想なのでしょう。
命がけで赤ちゃんの爪切りに挑んだり、買い物した荷物の重みでベビーカーをしょっちゅうひっくり返すというエピソードなど、実際に経験しないとわからないあるある話は面白かったです。
また、親になって自分は強くなったのか弱くなったのか、という簡単には答えの出ない問いかけは興味深かったです。つらい記憶ばかりが上書きされて八方塞がりになっていた自分には、「工夫して楽しむ」ことを育児を通して学んでいるんだ、という言葉がとても胸に沁みました。