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感想・書評『精神科ナースになったわけ:水谷緑』ネタバレ注意「主人公が母を亡くし、それでも毎日会社に通い、たんたんと仕事を」(レビュー)。 #読書


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精神科ナースになったわけ 水谷 緑

主人公が母を亡くし、それでも毎日会社に通い、たんたんと仕事をこなしていたところから物語ははじまります。

主人公は初めから精神科のナースではなく、自分の心が病みそうになったところで気づきます。「人はなぜ心を病むのか」その原理について知りたい、という思いから精神科ナースになり、実際に心を病んでしまった患者さんたちとのコミュニケーションを通して人の心のしくみを理解していこうとします。様々な患者さんとの対話を描いていますがリストカットを繰り返す少女の話が印象的でした。彼女は入院していてもリストカットを繰り返していました。その目的は死にたいわけでも誰かから心肺されたい、かまってもらいたい訳でもありませんでした。彼女は生きている実感を求めていました。腕を切ったときに流れてくる血の暖かさが生きていることを実感させるといいます。一見他人からみたらそれは不可解な行動なのかもしれませんが、彼女にとってそれは生きる術で精一杯生きていることの証しだと感じました。暗い内容の話のように感じますがコミカルに描かれている部分もあり、読み終えると暖かいような少し前に進めたようなそんな気持ちになりました。