「ミュージカル俳優という仕事」 井上芳雄・著
井上芳雄さんが、知られざるミュージカル俳優の仕事ぶりについて語っている一冊です。
昨年頃にミュージカル界のプリンスと呼ばれている井上さんの存在を知り、その気品あふれるたたずまいや素晴らしい歌声にすっかり魅了されてしまいました。小学生の時にミュージカルの虜になって以来、全くぶれることなく突き進み夢の職業に就くことが叶ったという井上さん。やはり稀有な人だと思います。
惜しみない努力があってこそなのでしょうが、揺るぎない自信を持っておられるのが垣間見えて、さすがだなぁと感じました。
しかし現実問題として、ミュージカルに出演するだけで生計を立てている人は、日本では数十人しかおられないのだそうです。映画やテレビドラマといった映像での俳優業と舞台俳優との違いも分かりやすく説明されており、こんなに赤裸々に語って大丈夫だろうかと少し心配になりましたが、とても興味深かったです。同業者に嫉妬する気持ちなども素直に書かれており、一人の人間として迷いながらも生きる姿に好感が持てました。今後ますますの活躍を期待したいです。