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感想・書評『あたらしい名前 ノヴァイオレット・ブラワヨ』ネタバレ注意「少女ダーリンは友人たちと共にジンバブエの地で生きていた」(レビュー)。 #読書


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新しい名前 ノヴァイオレット・ブラワヨ 母国と呼べる場所

少女ダーリンは友人たちと共にジンバブエの地で生きていた。飢えをしのぐために、グァバを盗んでは便秘になろうが種までお腹におさめてしまうほどだった。彼らの住んでいた土地は、破壊が繰り返された。子どもながらに神に祈るという行為ですら、何ら意味のないものと感じてしまうほどであった。

そんな子どもたちはパラダイスという言葉を口にする。自分たちとは全く異なる国、文化、言語、食物などを持つ場所に、運よくダーリンは旅立つことになる。しかし、彼女が目にし肌で感じたその場所は想像からは遥かに遠い環境であった。最初、ダーリンは友人たちに何度も連絡を送る約束をしていた。自分が過ごす場所、何を食べ、どんな音楽を耳にしているかといったことを手紙に書いて送る。しかし、彼女はだんだんそれを煩わしく思うようになっていた。理想とは違うその場所をどう表現したらいいのかわからなくなっていく。さらに、生活するというのは「故郷」をいくら思ってもそれは過去として遠ざかるばかりで、ダーリンのアカデミーでの生活、思春期女子の性的興味は高まるばかりであった。結局、どんなに夢の場所と思って暮らしていても現実は現実で、その地にいても永住権は得られない。その土地に住んでいるから裕福と決めつけられ、母国からは支援を頼まれる。挙げ句、母国に戻らない裏切り者のような扱いをされながらもダーリンは一人現実を生きて母国とは何かを胸の痛みをともないながら思い浮かべるのであった。