※こちらの記事は、在宅ワークで寄稿を募集した小説感想記事です。
このお話は、高校生の中嶋陽子が、ある日突然異世界に飛ばされ、一国の王となるお話です。と書くと、ありがちなライトノベルのように感じますが、かなり本格的で帝王学に通ずる所のあるどっしりとした内容です。
一国の王には側近として麒麟と呼ばれる特別な人物(人ではないのですが人の形をしていて人の言葉をしゃべります)がいて、王の治世が乱れると、この麒麟が死んでしまいます。麒麟が死ぬと、王は資格を剥奪されるという仕組みです。ただし、麒麟が生きている限り王は不老長寿でいられます。良い王が長く国を治められるようにというシステムです。
陽子は図らずしも王となり、初めは戸惑いますが、少しずつ王としての自覚が出て、なんとか国を治めようと奮闘し始めます。そこには人間的な成長が見られ、段々と立派になっていく要子の姿には感動を覚えます。
脇役もとても魅力的に描かれていて、私が一番好きなキャラクターはネズミとの半獣である楽俊です。賢く穏やかで、率直に陽子に意見してくれる良い友人です。私も楽俊のような友達がほしいと思ったものです。
説教臭いという人もいますが、ハッと気付かされる事が多く、自分を省みる機会をたくさん与えてくれた本です。