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鬼平犯科帳/感想・書評&あらすじ・時代劇ドラマでも多くの大御所さんたちが演じた長谷川平蔵、歴史上の実在の人物…ネタバレ注意。


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寄稿を頂きました。

鬼平犯科帳

テレビの時代劇ドラマでも多くの大御所さんたちが演じた長谷川平蔵。人呼んで鬼の平蔵。その原作が、池波正太郎の同名小説「鬼平犯科帳」です。
平蔵は歴史上の実在の人物。若いころは「本所の銕」と呼ばれ、その放蕩っぷりは、遊び人として知られる、これも実在した遠山の金さんを遥かに凌駕するものでした。その平蔵が「鬼」と呼ばれ、当時極度の不景気から増加した犯罪者たちから大層恐れられることになった経緯、そして、取締りの描写などは迫力たっぷりに書かれています。

しかし、鬼平の面白さはその部分だけにあらず。何故にして人は罪を犯し、その道に引きずり込まれていったのか。罪を犯す一方で、人間ならではの心の葛藤が生じることに悩む心理描写など、人間の奥に潜む様々がしっかり描かれているのです。
凶悪犯罪には一切の妥協をせず鬼となる。その一方で、更生の可能性がある罪人に対しては再生を試み、寛容さを見せる人情深さ。泣けるところ多々です。
また、グルメとしても知られる池波氏ならではの、食べ物に関する薀蓄。食文化のルーツを知る上で大いなる参考になり、空腹時に読んでいると、思わずその「食べ物」を出すお店に足が向いてしまいそうになるほど詳しく、そしてリアルに描かれています。
歴史、風俗、食文化・・・鬼平には江戸中後期の世界観がギュッと詰まっています。歴史は苦手という人でも楽しめる時代小説です。