寄稿を頂きました。
魔法をかけられた舌
5編の作品がつまった、短編童話です。表題作になっている「魔法をかけられた舌」は一流の舌を持つレストランのだんな(父親)が亡くなって、ひとりぼっちになった少年の話です。ひどい舌(味オンチ)な少年の前に現れたのは、レストランの味を守る地下室の小人。
小人がかけた魔法で、少年はどんな料理でも、材料や隠し味がたちどころにわかる一流の舌を手に入れます。さて、少年はどうなるのでしょうか。次々出てくる美味しそうな料理。少年の変化。父親から受け継いだレストランの運命。私が子供の頃にドキドキしながら読んだ物語です。私も一流の舌が欲しい!と子供心に思いました。その他、4編もそれぞれ面白く、どれも少し不思議であたたかい物語ばかります。穏やかですが飽きない展開で、どの物語も読みやすく、そして、大人になってから読むと、子供のころには感じなかったあたたかい切なさも感じました。