寄稿頂きました。
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫): 森見 登美彦
京都の女学生と、その女学生に夢中の先輩の日常を描いた小説です。内容としては、学生など若い人向けの内容になるのかな。私の50代の母親は数ページ読んで諦めました(笑)その一方で、文体に癖があるので、一度はまってしまったら中毒性のある森見ワールドにどっぷり浸かってしまうでしょう!
舞台は京都で、森見氏が京大出身のことも考えると、その辺りの描写が多くなります。私は、東京の高層ビルの中にあるような大学出身なので、こういった大学での生活は新鮮で、読んでいて憧れてしまいました。
この小説のいい所は、文語丁で一見とっつきにくい文体ですが、若い人にも読みやすいテンポとリズムを取り入れており、作者の表現力には驚かされます。相当の文学的教養をもっているのが文章からにじみ出ていますが、それをあえてひけらかさない作者のスタンスにも好感がもてました。