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感想・書評:リチャード・シャープ「絶望の要塞」あらすじ・今回は海に面した要塞での対フランス海軍ということで…ネタバレ注意。


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寄稿頂きました。

リチャード・シャープ「絶望の要塞」 バーナード・コーンウェル著

リチャード・シャープシリーズと言うと、陸軍の話なので陸での戦闘がこれまでの主だったのだが、今回は海に面した要塞での対フランス海軍ということで、ちょっと趣が違う。
ただ、主人公シャープがピンチに陥るところは変わらずだ。
しかも今回は新妻ジェーンと友人ホーガン少佐がマラリアにかかってしまって、その命を救わなくてはいけないという、またも崖っぷちなおまけまでついてくる。この主人公は、つくづくと平和だとか平穏だとかと程遠いなと、思ってしまう有様だ。

紆余曲折あってようやくジェーンと結婚できたのに、またこんな危険な状態に巻き込まれるし、今後のことを考えると何でこういう道を選択してしまうんだろうと呆れる。
そして今回も今回とて、嫌っていた敵や上官に、ちょっと優しくされただけで好感を持ってしまう。生い立ち上、誰かに優しくされた経験が非常に乏しいから、ちょっと優しくされるとすぐ好きになってしまうのは仕方ないとしても、毎回毎回でどうにかならないだろうか。勿論、そういう部分も人気なのだろうが。
更に、今作では作者の趣味や好みが大いに表れている。
と言うのも、作者のバーナード・コーンウェルは、同じくナポレオン時代の英国海軍を描いた「ホーンブロワー」シリーズの大ファンだ。この作品を読んで、「陸のホーンブロワーを書きたい!」と思ったのが、シャープシリーズを書くことになった始まりだと公言している。
この作品はまさにその好みが詰まっている。戦艦だの出ずっぱりだから、間違いない。
だが、次の巻に繋がる伏線も仕込んでいるので、そこは流石と言うべきかもしれない。