- タイトル:DearBoys Act.3 14巻あたり
- 作者:八神ひろき
- 一言感想:数少ない本格バスケ漫画
現在、最新刊では物語の終盤であるインターハイの決勝戦に差し掛かっているのですが、物語の先が読めません。
結構ストーリー展開って読めるものなんですけど、先の読めない展開になっています。
主人公である哀川和彦はケガをしていて、今までの漫画の王道なら、"主人公がケガを乗り越えて驚くべき力を発揮しチームも一丸となって勝利を掴む"みたいな感じなんですけど。
その最新刊で、哀川が交代して試合に戻るところまでは予想と同じでした。彼は負傷していても確かにチームに貢献もし始める。しかし、ここで現実的な問題点があらわになっていきます。
哀川は天才的なボディバランス、センス故に、特有の動きを相手チームのひとりに研究されことごとく封じられていました。しかしケガをしたことで今までの細やかなテクニックを出せなくなり、結果、今までになかった力技で立ち向かうという展開にに転がり、相手もそれを止めることができなくなってしまいます。
それによってシュートをもぎ取り、相手ディフェンスからファールを誘いフリースローをもらうこともできた。
しかし、それ以上に弊害が大きい。
ケガゆえにフリースローが与えられても、彼はことごとくシュートを外してしまう。一点一点を争う試合の中で決めて当然とすらいえるフリースローを外すのは試合としてはもちろん、精神的にもキツイ。
またケガのために彼は、細かいコントロールの必要なロングシュートも外してしまいます。つまり、中に切り込ませず、外に押し出すようにディフェンスをしロングシュートかパスへと誘導してしまえばいいわけです。
ほかにも弊害はあるのですが……。
DearBoysのいいところは、妙に現実味のあるところです。
天才といわれたって、哀川和彦の強さは夢物語ではありません。実際こういう人間がいてもおかしくないレベルです。
チームが強くなっていく過程でもその出てくる弱さやそれを乗り越える部分は、確かにすごいですが現実でも起こりえる範ちゅうです。
しかし、物語の終盤に差し掛かった現時点で、すでに気力の戦いになってしまっている。
誰もが「勝てる見込みはない」と思う中で、現実味を持たせつつ哀川たち瑞穂高校が勝つ道が全く想像がつかないのです。
まあ、実際そのほうが面白いのですが。
今後の展開がとても楽しみです。