一言感想
初めて読んだ時私は小学生で、主人公の早乙女煌(さおとめきら)の口と態度の悪さに驚き、そしてなぜか力をもらったのを覚えています。堂々として荒々しくでもとても優しい彼女の姿に憧れていました。
面白いところ。
煌は潜りの天才精神科医で相手の意識に直接潜り込むことで夢の中に入ることができます。でも出てくる人々は様々な辛く苦しいものを抱える人ばかりで、明らかに煌の体に負担がかかっているのがわかります。それでも誰ひとり見捨てず勝ち進んで救っていく彼女はかっこよく、面白いです。
好きなところ。
ちょっと恥ずかしいのですが、今でも悪夢を見るとバクを呼びます。バクは中国の、夢を食べるといわれている伝説の生き物で悪夢も食べてくれます。煌は作中で「夢喰らいの漠(ばく)」と呼ばれていて、「悪い夢はみんなバクが食べちゃうからね」と少女に言ったセリフがなんとも言えず優しくてそのシーンでこの作品が大好きになりました。
好きなキャラ。
主人公煌です。多少の暴力的なシーンもありますが、結局はみんな過去から逃げることなんてできない、なので立ち向かうのです。みんなそうやって前に進んでいました。煌が悪夢をやっつけるとき炎を使うのですが、炎はとても強く一瞬で消しさるそのかっこよさに惚れてしまいそうになります。
好きなエピソード。
子供のころ父親を見殺しにしたサラリーマンの男がカラスに見張られ続けるという話です。実はこの男の父親はものすごく悪い暴漢で、酒に溺れ子供時代にひどい暴力を受けていました。ある日父親が溺れ、瀕死の状態になります。しかしここで父親を助けてもまたぶたれる、次は自分の命が危ないかもしれないと考え、そのまま溺れていくのを見つめました。男に接触し、悪夢になって蘇った男の父親に向かって「そんなだからロクな死にかたしねぇんだよ」と言い、そして悪夢を焼きつくします。このセリフがとてもかっこよくて一番印象に残っています。
おすすめ。
とてもシンプルなイラストで、かなり好き嫌いが分かれる作品かと思いますが、強調されているシーンでは冷たい恐怖感がよく伝わってくるので、ぜひ読んでみてほしいです。
作品に関する思い出。
この作品を月刊誌で読んでいたころ受験前の身だったのでストレスでよく悪夢を見ていました。でも見た後バクを呼ぶとすうっとした不思議な感覚(気のせいだと言われてしまうかもしれませんが)になるのでこの作品のことはよく覚えています。
作者に関して。
月刊誌ミステリーボニータで初めて知りました。ミステリーボニータは単行本化されている作品が非常に少なく、唯一この作品を書店で見つけて母に買ってもらいうれしかったのを覚えています。
その他。
12巻で終わっているのですが、新たに「炎人 UNDERWORLD」という作品もはじまっているのでそちらは4巻まで出ていて両方読むのをオススメします。