一言感想
いくら乙女チックや美しいセレブ生活を望んでいても結局こうなるよね、これが生活感だよね、ということを強く意識させられます。恋する乙女でかわいくかわいく生きていかれたらいいんですが無理ですよね。でも読むとなぜかホッとする一冊です。
面白いところ。
キャラクターは主人公のハルチンとその友達のチーチャンそれと飼い犬のハチが出てきます。モテたいと本気で思っているとは思うのですがいつも空回りしていしまい結局モテとは一番遠いところに来てしまいます。そこが面白いですが、もし友人だったらあれこれ困ると思うので物語でよかったと思います。
好きなところ。
なんだかんだすごく女の人らしいところが好きです。文句も愚痴も多いしでも夢見たいし恋もしたいされたい、自分へのご褒美も多いのに貯金はなさそう...。行動力だけはすごくてあんまり人の体験を自分の血肉にしない、という人種はこの作品を読んだ後出会った中では私の年代より上の人たちにこういう女の人は割りと多いなと思いました。
好きなキャラ。
やっぱり主人公のハルチンです。これまでの魚喃さんの作品ではありえないくらいの色気の無さに読んで驚きました。それとこそ作品は特殊で、ハルチンはどんどん年をとっていくのです。3巻がもし出るとしたらハルチンは40代でしょうか、もし続編があるならハルチンがちゃんと成長しているかが気になります。
好きなエピソード。
とにかく無駄遣いが多いハルチンが、バイト代が入ったある日、町でプリップリの梅干しを見つけ、2000円という高めの値段で購入します。そのあとスーパーにうどんを気に行くとさっきの梅干しよりも大きくていいもので、2500円のところ1980円で売られています。悔しくて元をとる?ために今度はその1980円の梅干しを4つも買ってしまうのです!なんだこの話は!?全く意味がわかりませんし、大量の梅干しに1万円も使ってるしおかしいと気がつくのは2時間後!ああもう意味わかんない、でもなんか憎めないこのハルチン。他にもそんなのどこに履いていくの?ってくらいへんてこなブーツを買ったり、人形に散財したり他人事だからこそ面白いです。
おすすめ。
最初にこの作品を読むと、他作品のギャップに驚くと思うので最初は「短編集」とか「痛々しいラブ」とかを読んだ方がいいと思います。どちらから先に読んだとしても驚くと思いますが。
作品に関する思い出。
魚喃さんのしっとりとした話が読みたくて購入しました。予想外の面白さで、多様な人だなぁと感じました。でもなんで単行本の表紙はこんなにどぎつい真緑なんでしょうか。それだけがすごく気になります。
作者に関して。
ハルチン2のほうで少しだけ魚喃さんの私生活を見ることができます。ずっと破天荒で具合が悪そうですが、本当に美人な人なのでこう言ったラフでメンズライクな生活をしていることに驚きます。
その他。
どこにも姿を見せていないようで心配しましたが、パスピエの大胡田さんと対談していたときに「表に出る理由がなくなった」といっていたので安心しました。その対談の中でこのハルチンが実体験だとおっしゃっており、上記の感想を描いてしまったこと大変申し訳なく思っております。