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夢喰見聞/最終回感想&あらすじネタバレ注意!喫茶・銀星館には「貘」を訪ねて人々が集う…。 #懐かしの漫画


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死者に魂の救済あれ。「夢喰見聞」最終回

今日も喫茶・銀星館には「貘」を訪ねて人々が集う。悪夢から解放されるために。基本的には一話完結形式の連作大正ホラーで救いのない結末が多く後に大戦へと続く大正末期の重苦しい雰囲気を存分に味わう事の出来る作品です。
悪夢を糧として生きてきた「貘」の蛭孤の元に蛭孤自身の過去を知る人物がやってきた事により物語は一気に最終回へと向かいます。

親に売られ、奉公先では監禁され玩具のように虐待されたかつて千寿という人間の頃の蛭孤はいつしか途轍もない悪夢を生み出すようになりました。忘却していた過去を取り戻してしまった蛭孤は「貘」ではなくただの人間に戻ってしまいます。その悪夢は帝都中を覆い尽くしてゆき…。
人々は悪夢に苛まれるようになり、それは蛭孤の周りの人間にまで害を及ぼします。悪夢を消す方法を探るうち、蛭孤は気づいてしまいます。蛭孤になる前に既に彼は虐待により自身が死んでしまっていること。そして悪夢を消し去るには「自分が生きているという夢から目覚める」=死を意味している事を。
かつての蛭孤には虐待され続けた凄惨な思い出しか存在しませんでした。しかし「貘」として数々の人に関わった蛭孤にはいつしか友人や大切に思える存在、記憶が増えて行ったのです。大切な人たちを守るため蛭孤は決意し、夢から目覚めるのです。
悲惨な生涯を一度は終えてしまった蛭孤が再び過ごしたかけがえのない時間。それは死者であった蛭孤自身の魂を救ったのです。ラストに友人の一二三に送る飾りのない気持ちは読み手にも限りない救済を与えてくれます。