」で便利でお安く。感想
主人公の村雨純夏は同級生の風間汐という女の子が好き。物語はお昼休みの際、汐が「どうして女の子同士で愛し合っちゃいけないのかしら」と嘆くことから始まります。汐は同じ図書委員の女の先輩に想いを寄せていましたが、撃沈。あるクラスメイトに「女子部」を立ち上げないかという話を提案され、巻き起こる騒動を描いた作品です。愛を探して迷うのは男女だけでないのが切ないです。
最初この作品を見つけた時ちょっとほろ苦い学園ものの普通のラブストーリーだと思ったのですがいい加減な気持ちでは受け止められないくらい切ない話が多かったです。好きなあの人には、恋する誰かがいてそんな自分にも好意を寄せてくれる誰かがいて。一見羨ましいなと思ってしまいますが、年齢が年齢だけにたくさんの葛藤やツケのようなものがついて回り、後悔したくないのに失いたくないという感情が痛いほど伝わってきます。そもそも友人だと思っているはずというところから恋が始まり、気持ち悪いと思われないかという不安を抱えているけど誰よりも繊細な心で。なんだかすごく切なくなって一口に恋愛といっても本当に難しいなと思いました。自己嫌悪も含めて迷いに迷う彼女たちを見ていて「若いうちはたくさん経験すればいい」なんて軽々しく言えないなと思いました。
