感想
主人公は目つきも悪く、がらの悪い不良、最上義明。始まりは山小屋から、心臓発作で倒れたチンピラを逆に助けるというエピソードから始まります。表紙でいかにも主人公です、みたいに描かれている男は主人公ではなく、上杉謙神という偏郷大学病院の救急部医師。
かなりのトラブルメーカーであり、救急部内で数人の医師が彼のせいで退職しているそうです。この上杉というキャラの悪評を紹介するというシーンで、「医ガギャ」という言葉が出てきます。これは医療知識でも医療用語でも専門用語でも何でもなく「医学部ギャル」の略称だそうで、この作品中で最高に面白いと思いました。そんな人たちもいるのですね、賢くてもギャルだなんて。
私が住む場所の眼と鼻の先にも大学病院があり、そこに通っている女子大学生を見てもやっぱり華やかで、どこかしらOLのような服装をしていたりするので「わー、やっぱり品のある人たちってキレイだなー」と思っていたのですが、こんな呼ばれ方をしているんでしょうか。ちょっと親近感が湧きます。
この後上杉というキャラが本格的に登場しだすのですが、印象に残る言葉が「患者はもっと変だから。病人だからといっていい人ばかりではない」というセリフ。妊娠検診で2週間に1度は病院に通っている身としてはなんだか考えさせられます。たまに行く程度の私たちにとって、どこかで医師は完璧でなければならないというような印象を持ってしまっているんだなと感じました。