感想
小説家である関口巽が古くからの友人であり、拝み屋と古本屋を営む中禅寺秋彦を訪ねるために眩暈坂という坂をのぼるところから物語は始まります。
関口は「20ヶ月もの間、子どもを身ごもっていることができると思うか」と問い、中禅寺は全く驚かず、少し呆れたような表情で「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と答えるのです。調べてみたのですが、「うぶめ」は産女、姑獲鳥と書くことがある日本の妊婦の妖怪なんだそうです。
死んだ妊婦をそのまま埋葬、多分土葬のことだと思いますが、そうすると「うぶめ」になってしまうのだそうです。なので子供が生まれないまま妊婦が死んでしまった場合は腹を裂いて胎児を出して抱っこさせたまま葬るのだそうです。でも出しても出さなくても同じじゃないだろうか想うのですが、そこはやっぱり会えなかったから可哀想に思ってくれるんだなと思いました。
昔は出産中や、産後体調が戻らなかったりして死んでしまうことが多くあったようですが、まあそうだろうなと思います。母子手帳にも「志望するかの性がある、原因に繋がる」と記述されたものが多くこんな医療が発展した現代でも死亡確率は高いのだなと怖くなりました。この物語は別にこのうぶめという妖怪を解明して歴史を紐といていくというストーリーではないですが、一応同じ妊婦として放っておけず、ストーリーの妊婦の部分だけ濃く読んでしまいました。