相棒 season 13 #16
「なぜ人を殺してはいけないのだろうか」という問いを含んだ2回連続の2回目でした。右京らが監禁され、この問いの解答を求められ続けます。結局、監禁の犯人は撃ち殺されるのですが、「なぜ人を殺してはいけないのだろうか」という問いに対する解答はなぜかありませんでした。
わたしは「他人の自由を奪うことになるから」と子どものころから誰かに教わって、それを当然のことと思って生きてきたのですが、ドラマでは法理や罰則などによる抑止などが抽象的に述べられただけでした。
物語世界には作者の価値観によって統括された秩序があって、読者や視聴者は現実世界の無秩序に対するストレスを物語世界の秩序によって発散するのだと思います。しかし、今回の『相棒』は、脚本家の価値観が低劣に思えてしまうものでした。
面白かったのは、最後の「殺意」をめぐる議論でした。正当防衛に見える殺人の「殺意」の有無が、杉下右京の誘導によって事後的に形成されたものであって、殺害時の「内心」は空白だったろうという女性警察官僚の指摘でした。
しかし、さらに考えてみますと、その指摘は「なぜ人を殺してはいけないのだろうか」という問いとは連動していません。何とも消化不良の回でした。