「とらわれない」五木寛之著(新潮新書)、飄々としいたエッセイ
本の表紙のデザインを見ると、なにか人生の教訓を垂れる指導書かと思ってしまいますが、実際に読んでみると、飄々としたエッセイです。思いつくままに筆をとった、といった感じですので、肩ひじ張らずに読めます。
ですから特に教訓めいたものはないのですが、逆に言うと、気楽に生きればいいじゃないか、みたいなものが教訓でしょうか。
健康法なんて、趣味で、おもしろがってやればいいんだ、なんていうのが、その代表格の意見です。
一方、まじめなことも言っていて、「第5章 老人もまた荒野をめざす」が、かなりシリアスです。
たとえば、「嫌老社会」という本の企画を持ちこまれたとき、こんなことを言っています。
共感を得るだけじゃだめ。最初は反感を持たれ、読むうちに納得せざるをえない、ということが大事。
なるほどそうか、と思いました。
あるいは少子高齢化について、老人が増えたために子供の数が減っているのだ、という意見など、ハッとさせられる意見を述べています。
文章を読むと、たぶんテープ起こしではなく、自筆原稿ではないか、と想像します。
まあ、気楽に読まれてはいかがでしょうか。