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感想・書評「侠客の世界:村松梢風」ネタバレ注意・大正時代に出版された『騒人』「侠客奇談号」を現代語訳したもの(レビュー)。 #読書


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『侠客の世界』(村松梢風):侠客は英雄かゴロツキか

国定忠治・清水次郎長・幡随院長兵衛といった侠客は今でも語り継がれる民衆のヒーローです。ですが、一方で侠客=博打・ゴロツキといった見方も根強くあります。『侠客の世界』は大正時代に出版された『騒人』「侠客奇談号」を現代語訳したもので、大正時代に侠客がどのような人々として見られていたか、侠客の歴史とはどのようなものか、侠客に関する噂話など、侠客に関する幅広い原稿が収録されています。

原稿を読んでいくと、侠客は単なるヒーローではなく、ゴロツキとも交わる部分があり、大正時代から賛否が分かれていたことを知ることができます。これは現代人がヤクザを侠客と見るか、暴力団と見るかの違いのようなものだと思います。侠客への眼差しは昔も今も変わらないのです。面白いのが当時の有名人に「好きな侠客」「侠客になったら何をするか」を尋ねたアンケートです。大正時代からすでに侠客に対する賛否が分かれていながら、自分が侠客ならば世の中の悪い奴を叩きのめしたいと思う人々が多いのです。このような「侠客は嫌いだけど悪い奴は懲らしめたい」との思いが、現代まで侠客が人気を誇る秘密なのかもしれません。