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感想・書評「三津田信三:厭魅の如き憑くもの」ネタバレ注意・物語の舞台は日本のどこかの山奥の寒村で、時代背景は昭和30年代前半(レビュー)。 #読書


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三津田信三「厭魅の如き憑くもの」

厭魅と書いて「まじもの」と読みます。まじもののごときつくもの…なんだか呪文めいた感じで気になったので購入しました。物語の舞台は日本のどこかの山奥の寒村で、時代背景は昭和30年代前半です。その寒村では、山奥だからこその色々な言い伝えがあるのですが、それがどれもこれも厭という漢字に相応しい恐ろしさなのです。

例えばタイトルにもなっている厭魅という化け物が山の神様と同じような格好で村を徘徊しているとか。それと行き会っても厭魅だと感づいたことを気付かれたらいけないとか。憑き物筋の家柄があって、その家の代々の巫女と憑座が祈祷を行うなどなど…。そこに取材に訪れた小説家の刀城言耶が主人公なのですが、物語の展開はこの刀城言耶目線の取材ノートと憑き物筋の家の娘の日記、その幼馴染で村で2番目に大きな家柄の息子の手記、そして第三者っぽい目線の文章が繰り返されることによって進んでいきます。次々村で起こる不可解な殺人事件とそこに纏わる村の過去や因習などの描写が本当に怖くて、ホラーテイスト満載なのですが、最後大どんでん返しが待っています。ホラー調もミステリ調も両方楽しめる長編で面白かったので、続編も読みたいと思いました。