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感想・書評『黒い紙:堂場瞬一・著』ネタバレ注意「警察を辞職し、危機管理会社に再就職した主人公の長須」(レビュー)。 #読書


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「黒い紙」 堂場瞬一・著 企業調略ミステリー

とある事情から警察を辞職し、危機管理会社に再就職した主人公の長須。新たな職場で初めて挑んだ仕事は、大手総合商社に届いた脅迫状への対応でした。30年前の旧ソ連のスパイ活動なども絡んで、巨大企業の闇に迫っていくミステリー小説です。
さらりと読める文章で、テーマの割にはそこまで重くはない内容ですが暗いです。なぜ暗いのかと考えると、登場人物たちそれぞれが心に傷を負った者ばかりだからということが徐々に明らかになっていきます。警察が舞台ではないのですが、長須と社長の光永は元警察官という設定なので、刑事ものを読むような楽しさが味わえます。脅迫状がワープロで印刷されていることを突き止めた長須が、足を使って地道な聞き込みを続け、ワープロの機種や字体などから真相に近づいていく様子は読みごたえがありました。
淡々と終わってしまうラストは少し物足りなさもありましたが、長須の心に希望が見えたのでホッとしました。続編があるなら、登場人物たちの闇をもっと掘り下げて描いたものを読みたいです。