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感想・書評『人間の顔は食べづらい:白井智之』ネタバレ注意「動物に感染するウイルスが蔓延したことで、肉を食べることを避けるようになった世界が舞台」(レビュー)。 #読書


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人間の顔は食べづらい 白井智之

最近、文庫化されていたので購入しました。文庫版は表紙カバーがややグロテスクで、人によっては手に取るのをためらってしまうかもしれませんが、手に取って中を読んでみると、想像以上にグロテスクです。
物語は、動物に感染するウイルスが蔓延したことで、肉を食べることを避けるようになった世界が舞台です。日本では、動物性の栄養を摂取できない子供の健康が懸念され、動物の肉を確保するために、食用のクローン人間が合法的に作られています。ただし、食べても良いのは自分自身のクローンだけという制限があります。
非常に大胆な設定にまず驚きますが、無茶がありそうな設定に見えながらも、もし現実に日本でクローン人間が食べられるようなことになったら、本当に物語の中のようなことが起きるんだろうな、と思えるようなリアリティがありました。
物語の中ではある事件が何者の仕業なのか、様々な推理が繰り広げられます。すべての推理に対して読者は、なるほど、そうだったか、と思ってしまうほど説得力があります。推理に納得した頃に、新たな事実がでてきてしまいその推理は間違いだったとわかるという構成が何度も繰り返されますが、飽きることがありません。むしろ、推理が覆されてしまって悔しいと思えます。
最終的に、物語全体に巧妙な仕掛けが施されていたことがわかり、物語りを通してのミスリードに圧倒されました。二度読みしたくなる作品です。