ナカノ実験室

ナカノ実験室が行う実験的なブログです。

スポンサーリンク

感想・書評『都学派酔故伝:櫻井正一郎』ネタバレ注意「必ず酒にまつわるエピソードが」(レビュー)。 #読書


【おすすめ情報】知らない人は損している!「アマゾン業務用ストア」で便利でお安く。

京都大学に流れる血:『京都学派酔故伝』(櫻井正一郎)

旧帝国大学の中でも、ひときわ異彩を放っているのが京都大学です。自由な校風と一風変わった教授陣は京都学派と呼ばれる一学派を形成しています。そんな京都学派を歴史的にはじめて紐解いたのが『京都学派酔故伝』です。

第1部では京都大学の文学研究が徹底して守ってきた「実事求是」とは何かが解説されます。次に、第2部では京都学派の第2期がどのようなものだったのかが紹介されます。ここまでは、京都学派の歴史的な概観と言っていいでしょう。本書で1番面白いのは第3部の京都学派人物列伝です。京都学派を代表する人々の逸話を集めた部分ですが、必ず酒にまつわるエピソードが取り上げられていて、京都学派と酒はセットだったのだと分かります。しかも、酒の飲み方・エピソードは人それぞれで異なり、痛快なものがあれば悲壮なものがあるといった感じで、京都学派の人々をリアルに感じることができます。酒とともにあった人々が京都学派の雰囲気や伝統を形作ったという歴史は、何とも興味深いものでした。京都大学の一風変わった気質の源泉を知ることができた1冊でした。