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感想・書評『壺中の回廊:松井今朝子・著』ネタバレ注意「歌舞伎役者が殺される」(レビュー)。 #読書


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「壺中の回廊」 松井今朝子・著 歌舞伎役者が殺される。

昭和5年の歌舞伎座で、「忠臣蔵」の上演中に、花形役者が、毒殺されます。好物のどら焼きの中に、毒が仕込んでありました。
江戸の狂言作者の末裔の「桜木」が、素人探偵の役目を果たすことになります。昭和の初期の時代背景が、ていねいに描きこまれ、労働運動の始まりが、事件を複雑化させていきます。
事件の根は深く、関東大震災のころまで、さかのぼります。複雑すぎてなかなか犯人の見当がつきません。謎を解くカギは、いくつも提示されてはいるのですが、ひたすらストーリーの展開を追っていくだけでは、わかりません。
歌舞伎役者が一人一人丁寧に描きこまれていて、歌舞伎に詳しい人ならば、登場する歌舞伎役者のモデルが誰なのか、推理するのもこの小説の面白さです。
いろいろな変革が起きてくる昭和初期を舞台につづられた、歌舞伎バックステージのミステリーです。和風の探偵物語と言っても良いでしょう。結果は悲劇に終わります。昔の因果がこの物語の遠因となっています。
歌舞伎座の中、役者の控室、役者たちの動向が細かく丁寧に描かれています。