佐藤愛子さんの小説はこれまで読んだことがなく、なんの予備知識もないままこのタイトルだけ見たので、世の中のあれこれを激しく罵倒しまくるとんでもないおばあさんという人物像を勝手に作り上げていました。
しかし実際に読んでみるとなかなかに的を得た話が多くて、歯に衣着せぬ物言いは清々しいですし私は共感する部分が多かったです。
私にも佐藤さんと同じ90代の祖母がいますが、それはそれは口うるさいし考え方も自分とはあまりにも違うので、閉口してしまうことも多いです。でも女性の地位が低かった時代を生き抜いてきた強さの秘訣は、実は怒りのエネルギーなのかなとふと思いました。読売新聞の「人生案内」についてのエピソードは、私も毎日目を通しているので興味深かったです。30代から40代のいい大人が小学生レベルの悩みを相談しているというのは、確かにその通りです。精神的に弱すぎる自覚がある自分にも耳が痛い内容でした。最近のテレビ番組がつまらないというのも同感で、面白くて一気読みしてしまったエッセイでした。