主人公が同窓会で元カノに再会し、その後彼女-倉橋沙也加の悩みと頼みを聞き、主人公はあまり気が乗らないまま、彼女の亡くなった父が娘に嘘をついてまで定期的に通っていた別荘に向かうところから始まる。
人の様子やその場の雰囲気がとてもリアルに書かれており、怖がりな私は1人で読むのが少し心細いぐらいでした。読みながら結末に繋がるヒントが散らばっており、ラストを予想しながら読み進めていたのだが、私の予想とは全く違った結果となっており、短いページ数ではあるが、駆け抜けるように読み終えてしまいました。
主人公視点で物語が展開していく内容となっており、それが文章のリアルさをより引き出しているものだと思われます。登場人物の2人は最初どこか冷めたような接し方でお互いの会話を進めていたが、彼女の悩みの真実に近づくにつれて主人公の過去も思い起こされる描写があり、それに伴って2人の会話も感情を増していくのがわかり、徐々に物語のスピード感が早くなっていくのがわかってとても面白かったです。しかし、ミステリー小説らしい読み終えた後のスッキリさは無く、私の中では煮え切らない最後となっていました。
東野圭吾作品を読むのは初めてでしたが、会話文も多めのため、本を読まない派の自分でも読みやすかったです。