ナカノ実験室

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感想・書評・「ひとり日和」 青山七重・著・ネタバレ注意「20歳の「知寿」は、71歳の「吟子さん」の家に同居することに」(レビュー)。 #読書


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第136回「芥川賞」受賞作品です。20歳の「知寿」は、71歳の「吟子さん」の家に同居することになりました。
二人暮らしだった母親が、仕事で外国に行ってしまうので、遠縁の「吟子さん」のところに住むことになったのです。まだ20歳。上手に生きていくことは、まだ難しいようです。小さなものを、ちょっといただいてしまって、そのものを時々取り出して、その人を思い出す、その時を思い出すという行為が、まだ子供なのですね。窃盗と言ってはかわいそうな気がします。悪意はないのですから・・ただ純粋に欲しいだけ・・
大人になれない「知寿」が、「吟子さん」と暮らすうちに、少しずつ大人になっていく物語なのです。駅のホームが見える小さな平屋という「吟子さん」の家が、含蓄の多い設定だと思われます。
行きあう電車が見えて、行きあう人々が見えて、ひょっとしたらこれって「人生」を眺めているのでは?などと考えてしまいます。さすが「芥川賞」を取る作品だね。
何だか奥が深いね、と読んでいて思ってしまうのです。