「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの初エッセイ集です。
「コンビニ人間」や「殺人出産」の世界観があまりに強烈だったので、作者はかなりクレイジーな人なのではないかと勝手に想像していました。なのでおそるおそるというか、失礼ながら怖いもの見たさのような気持ちで読み始めたのですが、いい意味で裏切られました。
雑誌「anan」に連載されていたそうで、細い首にできる金色のチェーンのような華奢な皺が素敵だというエピソードには、なんておしゃれで美しい表現をするのだと驚きました。
コミュ力が低いとご自分でおっしゃっておられますが、私からするとなかなかに社交的に見えます。友人が多くおられてよく飲みに行かれたり、SNSも使いこなし、なによりこんなにユーモアあふれるお人柄だとは知らず、途中何度も大爆笑してしまいました。自分に対するツッコミが絶妙すぎます。「化け物」の話や、女の人生における仕事とはなにか?など、自分の胸にいつももやもやしていた悩みをまた違った角度から考えるきっかけにもなり、とても興味深かったです。