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月に吠えらんねえ1巻/感想&あらすじ・キャラクターはみんな、明治~大正期の文豪たちの「作品」を擬人化したもの…(ネタバレ注意)。 #マンガ


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月に吠えらんねえ(第一巻):これぞまさしく文豪×同人!?

突然ですが、皆様。
「明治~大正期の文豪」ときいた時、どんな姿を思い浮かべますか。
賢げな表情の洋装紳士? それとも、よれよれの着流しをまとった借金男?
文学フェチの方はもちろん、学生時代はそれほど興味をもてなかった方にもおススメのマンガ。それが今回ご紹介する「月に吠えらんねえ(清家雪子 作)」第一巻です。

この作品の特徴を一言で表現するなら、キャラクターはみんな、明治~大正期の文豪たちの「作品」を擬人化したものだということです。

たとえばメインキャラクターの一人:萩原朔太郎。通称・朔くん。

彼の人格は、情緒不安定で/甘えたで/社会生活不適応者で/病的で「イカレた」萩原文学そのもの。日がな一日、恐ろしいほどの集中力でもって「死体」を観察し続ける胡乱ぶりをあっさりと描ききる、シンプルなイラストぶりが逆におそろしいくらいです。
もっとも、重要なのは、これら「朔くん」の奇行・偏向っぷりは実在した萩原朔太郎本人のものではなく、あくまで作者が「作品」から受けた印象の「擬人化」であるというところ。

「朔くん」をはじめとするキャラクターたちが住んでいるのは、全てが曖昧模糊とした架空の世界――住人たちはみんな詩と歌と句ばっかり作る「だらず」で、日の出と日の入りの時間さえ適当な街:□街(シカク:詩歌句-がい)。
愚にもつかないはずの妄想が、強迫観念が、現実に対して圧倒的なアドバンテージをもつこの街で、たっぷり営まれる「異常な」日常。

けっこうなグロ描写がありますが、もしあなたが「万年床とタバコの臭い」だの「肺尖カタル」だのに浪漫を感じるたちなら、ぜひ読んでみて下さい。
キャラクターたちと一緒に、脳ミソをトロけさせることができます。