感想
愛、願い、祈りなど、人間の欲望が「七つのくるり」になる時に人間が鬼と化す。その鬼狩りを命じられた、陰陽師、侍、僧侶の3人の男たちの冒険ファンタジー漫画です。すごく繊細な線の美しいイラストだと思います。
そんな繊細さの中にも力強さを感じるようなきりっとしまる感じが独特ですごく気に入りました。2巻完結だからすぐ読み終わるだろうと言うよこしまな思いで読んでいたのですが、予想よりもはるかにおもしろくて感動しました。
一番印象に残っているのはやっぱり第一話のヨヲという少女の話です。くるりというのは体と魂を結ぶ七つのつなぎ目で色とりどりに輝いて回る光の輪、と作中の菫丸のセリフに描かれていますが全くわかりません。中国の漢方とかの陰と陽に似たような民間療法の一種のようなものなんでしょうか。ヨヲの父親が、死ぬ間際に娘を残しては死に切れず、結局その思念が強すぎて鬼になってしまったのですが、子どもを「守らなければ」と思わない親なんかそうそう存在しないはずです。
誰もが自分を犠牲にしてでも苦しく痛くて辛くてもそれで子どもが守れるのならばいくらだって受けてやるとおもいます。これはそんな親心の末に鬼になってしまった父親の話ですが、どんなふうに思われようと私も夫も子供を守るのだと思うのでこれはかなり切なくなる話でした。全体的に感動するものが多かったので目をはらしながら読みました。