寄稿頂きました。
絲山秋子著『逃亡くそたわけ』タイトルはちょっと下品かも?
直木賞ノミネート作品のこの小説。
女優の美波さん、男優の吉沢悠さんなどにより映画化もされています。
映画のほうもなかなかですが、今回は原作の小説について。
大まかなストーリーは、精神病棟に入院中の男女二人が病院を脱け出し、車で逃亡するという、ちょっとしたロードムービー風のお話です。
逃亡中の二人のちょっとした会話はいたって普通なかんじです。しかし精神疾患を持つもの特有の焦燥感やうつ状態、服薬の問題やらなにやら、そのような経験のないヒトにはわからない苦しみなどもリアルに描かれています。
また、話の途中に出てくる「theピーズ」という実在するバンドの歌詞もなかなか、作品とマッチしていて、曲を知っているヒトにはかなりいいカンジのBGMになるのです。
個人的な話ですが私は25年来theピーズのファンなので、特別その思いが強いのかもしれないけれど、ぜひこの作品を読んだらtheピーズの曲も一度聴いて欲しいな、と思います。
この著者の織り成す独特の空気感がたまらなく魅力的です。