「俺はまだ本気出してないだけ」、そのタイトルを本屋で見かけた時は驚きました。
活発な少年が描かれているわけでもなく、クールな美少年が描かれているわけでもなく、ただの「おやじ」!それも、明らかにメタボリックな体型にまろ眉気、眼鏡を装着し、やる気のない服装に、巻頭に巻かれた帯のおやじは物憂げな表情でタバコを吸う描写…。更には「これ…私でも描けるんじゃないの?…」という、とても上手いとは言えないやる気の無い画力。
しかし私の個人的な「当たり漫画の法則」の内の1つ、『絵が上手くないのに書籍化されてる=話が面白いから』に当てはまり、騙されたと思い1巻を購入。
読んで冒頭からビックリ。
40歳となった主人公であるシズオ(おやじ)が、いきなり脱サラしています。
そして寝転びながら日がな一日ゲームをしています。
娘がいるようですが、娘は高校へ通います。真面目でいい子の様子です。
シズオは何か目的があって脱サラしたわけではなく、「理屈ではなく、自分を探していた」とわけのわからない理由で仕事を辞めています。
そしてひょんなことから漫画家を目指すことになります。
もちろん、いきなり目指した所で上手くいくわけがなく、ストーリーすら思い浮かびません。
しかしシズオなりに頑張ります。
父親に怒鳴られる日があれば、哀れんで泣かれる日もあります。
それでも「俺本気出すから」と、どこから溢れているのかわからない根拠を持ち出し、アルバイト先の若者に馬鹿にされながらも、頑張ります。
どうしようもないと思われるシズオではありますが、そこぬけた明るさと、無駄にポジティブであること、またそのような性格のシズオに影響された周りの人間ドラマに関しては、作品の適当さに反して重い内容、ブラックな内容のものもあり、メリハリがついてとても読みごたえがあります!
一巻を読み終えてから慌てて続きを購入しに本屋へ走りました。
出版当時こそ隠れた名作(迷作?)でしたが、5巻発売の頃にはなんと堤真一主演で映画化になるほどのシズオ人気!
映画館で映画を見ましたが、会場が笑い声で溢れていました。
「俺はまだ本気出してないだけ」全5巻
著 青野春秋
また、オムニバス短編集としてシズオの周りの人間達が主役として描かれている
「俺はもっと本気出してないだけ」
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こちらの記事は、在宅ワークにて募集した記事です。詳しくは、以下の記事をどうぞ。