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感想・書評「虚栄の市:サッカレー原作」ネタバレ注意・19世紀初頭のロンドンを舞台に、「金なし・コネなし・何にもなし」の、三拍子そろったヒロイン、ベッキーことレベッカ・シャープ(レビュー)。 #読書


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「虚栄の市」(サッカレー原作):対照的な二人の女の物語

19世紀初頭のロンドンを舞台に、「金なし・コネなし・何にもなし」の、三拍子そろったヒロイン、ベッキーことレベッカ・シャープを中心に上流社会を痛烈に皮肉ったこの作品は何度も映像化された人気作品です。

また、ベッキーとその友人アミーリアの奇妙な友情(?)は、現代の「女友達あるある」にも通じ、思わず吹き出してしまいそうです。貧しい画家と踊り子の娘として生まれたベッキーの性格の悪さと意地汚さはもはやあっぱれな領域であり、それと対照的にジョーゼフやジョージといった男どもはどうにも情けなく、小者感が否めません。原作者サッカレーは時にユーモラスに、時に残酷にベッキーの目を通して人間の愚かさ、浅ましさを鋭くえぐっていきます。また、もう一人のヒロインとも言えるアミーリアはベッキーとは対照的なお嬢様育ちで世間知らず、お人好しで鈍くさくてドジっ娘で、ある意味作品最強の人かも・・ベッキーが唯一調子の狂う、弱点とも言える存在です。また、片方が栄えている時はもう片方が困窮するという鏡合わせのような二人は、時に協力しあい、時に衝突しながら男どもを尻目に逞しく激動の時代を生き抜いていくのです。現実にもベッキーやアミーリアの対照的な人生・・あなたはどちらの生き方を望みますか?すべての女性に是非おすすめしたい作品です。