『無敵のラーメン論』(大崎裕史):謙虚なラーメン論
日本人の食文化の代表格にまで登りつめたラーメン。日本人であれば、ラーメンを食べたことがないという人はまずいないでしょう。巷では「どの店のラーメンが美味しい」「あの店の方がうまい」と論争になるほど、ラーメンファンは熱いのです。
この本の筆者も今まで約8500杯のラーメンを食したラーメン通であり、そんな人が書いた『無敵のラーメン論』は薀蓄が満載なんだろうなと思いきや、左にあらず。「100人食べれば100人の好みがある」と語る筆者は自分の知識をひけらかすことなく、ラーメンのダシ・タレの基礎知識や麺と具に関する基礎知識を語り、全国のラーメンの特徴を端的に綴っているのです。ラーメン好きの方には物足りないと感じるかもしれませんが、「美味しいラーメンが食べたいだけ」と語る筆者が大事にするのは食べて美味しいかどうかだけなのです。真のプロフェッショナルは余計なことを語らないと言います。筆者もまさしくラーメンのプロフェッショナルであり、薀蓄を語らなくてもラーメンの魅力は分かると考えているのかもしれません。まさにラーメンのプロフェッショナルが書いた『無敵のラーメン論』でした。