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劉広福(リュウカンフー:八木義徳)/感想・書評・第十九回芥川賞受賞作品、受賞の報を、出征中の戦地にて上官から…ネタバレ注意。


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寄稿を頂きました。

劉広福(リュウカンフー)

第十九回芥川賞受賞作品。
著者の八木義徳氏(故人)は、受賞の報を、出征中の戦地にて上官から伝えられたそうです。
吃音、つまり吃り(どもり)の強い、不器用な大男。体躯は大きいが、その見た目とは逆にちょっとどん臭いキャラ。

周囲からばかにされ、それでも只管愚直に働き続けます。やがて、周囲からの見る目もじょじょに変わり、やがては勇者として認められていく様を、短編作品の中にしっかり、そしてテンポよく描かれています。
人間にとって大切なもの。信義、信頼、信用。これらがギュッと凝縮された作品であり、時代が変われど、人にとって普遍の価値はなんぞや、と、訴えかけてくる迫力、そして、心の在り方を再認識できる秀作であると確信しております。
純文学はちょっと苦手・・・という方に、先ずはここから、と、お勧めできる短編小説です。若い人にも是非とも読んでもらいたい作品です。
私事ですが、初めてこの劉広福を読んだのが十代の終わり頃で、電車の中で思わず涙ぐんでしまったのを記憶しております。