「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」 神田桂一、菊地良・著
最近この手の本が増えているように感じるのは、とにかく本が売れない時代になんとかしようとあの手この手でチャレンジを試みているからでしょうか。正直、当たり外れが大きいので迷いましたが「もし手塚治虫が太宰治を描いたら」という表紙の絵の絶妙さに、ついつい手にとってしまいました。
タイトルには文豪とありますが、ミュージシャンや雑誌などバラエティに富んだ100の顔ぶれで、ただただカップ焼きそばの作り方を文体模写している奇抜な一冊です。
やはりトップバッターというインパクトもあり、「はじめに」の村上春樹には笑いました。始めから意味のある作品など目指しておらず、軽く読んだら忘れてもらえればよいという姿勢で、ある種くだらなさを追求しているところも良いです。個人的には、ドストエフスキー、松尾芭蕉、小沢健二で大爆笑しました。俵万智はひねりが足りないように思えたし、夏目漱石となると偉大すぎて冗談が許されない気になります。そんな文句も言いつつ、気づけば最後まで読み終えてしまいました。