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感想・書評『畠中恵:なりたい』ネタバレ注意「日本橋の廻船問屋兼薬種問屋の若旦那一太郎と妖達の物語」(レビュー)。 #読書


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畠中恵の「なりたい」がやっぱり面白い

江戸の日本橋を舞台に繰り広げられる「しゃばけ」シリーズは、日本橋の廻船問屋兼薬種問屋の若旦那一太郎と妖達の物語です。毎作、何かしらの事件がおき、それに対する若旦那一太郎の推理の展開と愛すべき妖達の活躍が心躍る内容で、読んだ後に心が温かくなります。文庫版最新作「なりたい」は、ご多聞にもれず、一太郎と妖達が活躍します。
若旦那一太郎の祖母は、実は大妖。その為に一太郎は幼少の頃から人ではないもの妖が見えます。一太郎の「兄や」である手代の仁吉も佐助も本当は白沢と犬神という妖達です。一太郎は、体が弱く離れで暮らしていますが、その離れには鈴彦姫や屏風のぞきのような付喪神、河童の禰々子や獺、家を軋ませる小鬼の鳴家達、そして貧乏神や生目神など終いには神々まで集ってきます。
このシリーズを通して、私が気に入っている登場人物は、「鳴家」です。人間でいえば3歳ぐらいのような行動や発言が多いのですが、一太郎の為と大好きなお菓子の為に必死に情報を集めてくる姿がとても可愛いのです。
そして、世の中の優先順位は若旦那のことと考えている手代の仁吉と佐助の若旦那に対する無条件の愛情は、ほろっとさせます。
「なりたい」は、一太郎のところに集った神々から一太郎に対する問いかけから話が展開していきます。ぐいぐいと読者を江戸の日本橋にひきこんでいく文章と展開の良さに、このシリーズが圧倒人気を集めている理由があるように思います。「やっぱり面白い」の一言ですね。