ナカノ実験室

ナカノ実験室が行う実験的なブログです。

スポンサーリンク

感想・書評『映画大臣―ゲッベルスとナチ時代の映画』ネタバレ注意「必ずしもプロパガンダ映画ばかりでないという現実」(レビュー)。 #読書


【おすすめ情報】知らない人は損している!「アマゾン業務用ストア」で便利でお安く。

映画大臣――ゲッベルスとナチ時代の映画

ナチス・ドイツ時代の映画といえば一般に、プロパガンダ(政治宣伝)映画との見方が有名です。確かにナチス体制を是とする思想を広めることを目的とした映画は多いのですが、それは後の時代の人々の視点によるステレオタイプであることも多いようであり、必ずしもプロパガンダ映画ばかりでないという現実が本著に記されています。ナチス時代の映画だから悪者、と安易に決め付けるのは単純だしもったいないのです。
また、そのプロパガンダ目的のいえども、政府・政権が作ったものとは限りません。ナチス政権以前から存在する民間の製作会社が作った映画はもちろんあり、それらに対して啓蒙宣伝大臣ゲッベルスがどう関わったか、作品・時期ごとに紹介されているのも興味深いものです。歴史の予備知識があれば、「ゲッベルスは、単に規制のために検閲したのみではなく逆のことも行っていた」という意外な事実も読み取ることができ、ナチスに限らず映画一般のメディアとしての効果が伺える著書でした。